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計画成立再生計画案再生手続開始14⑶ 民事再生のイメージ・再生手続の流れ第1編 倒産法─総論 再生債務者は,再生手続開始後も業務遂行権や財産の管理処分権を有しますので(民再38Ⅰ),破産財団の管理処分権が破産管財人に専属する破産と決定的に異なる点となります。このことから,民事再生の原則は,DIP(debtor in possession)型と呼ばれます。「占有継続債務者」型という意味で,債務者がそのまま事業を継続するというイメージでよいでしょう。中小企業は,経営者の個性や意欲によって経営されていますので,この点は経営者にとって大きなインセンティブ(動機付け)となっています。 ただ,再生債務者は,自らの利益のために行動するだけでなく,債権者に対し,公平かつ誠実に,これらの権利を行使し,再生手続を追行する義務,公平誠実義務を負うことになる点も重要です(民再38Ⅱ)。 債務整理の方法としては,再生債務者の将来収益と保有資産を原資として再生計画により権利変更,すなわち大幅な債務免除をしてもらった再生債権を弁済することで,債務の負担を軽減します。 端的にいうと,再生債権に対し破産配当を上回る弁済を行おうという清算価値保障原則を満たす再生計画案が再生債権者の多数決で可決され,裁判所がこれを認可し,認可決定が確定すると,再生債権は再生計画により権利変更され,最長10年分割で弁済を受けることになります。 例えば,再生計画で債権を90%カットしてもらい,残りの10%を毎年1%ずつ弁済していくようにイメージするとよいでしょう。 破産は,いわば破産管財人による強制的な分配でしたが,民事再生は,再生債権者の多数決に基づき,再生計画による権利変更を行い,弁済することにしています。この点,民事再生法という法律に基づき,多数決原理により再生計画案に反対した債権者の権利も変更してしまうのです。この点に大きな特徴があるといえるでしょう。債権者多数同意+裁判所認可債務減免債務

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