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7 その他の法的整理と私的整理15コラム 立法の経緯─民事再生法が先⁉第1講 倒産法─総論 また,民事再生法も,破産法と同様に,手続法の側面と倒産実体法の側面を併せ持つ法律です。 これまでに見た破産と民事再生のほか,法的整理としては,再建型として会社更生,清算型として特別清算があります。 また,法律があり裁判所を利用する法的整理とは異なり,私的整理も倒産法の世界としてあります。 ただ,本講義は,破産法と民事再生法を理解することを目指しますので,以下は補講で取り上げることにし,ここでは比較の観点で概説するにとどめます。 民事再生は,主に中小企業の事業再生を図るために,原則として従前の経営者が経営でき,これをDIP型といいました。民事再生の再生計画は,再生債権の権利変更を行うところまでで,基本的に株主権に変更を加えず,担保権は破産と同様に別除権としています。これに対し,会社更生は,会社更生法に規定された再建型の法的整理手続ですが,対象を株式会社に限定し,比較的規模の大きな企業を対象としています。事業の維持更生を図るため,必 民事再生法は,バブル崩壊後の不良債権処理が問題となる中,中小企業の事業再生を図るため,従前の経営者が経営を続けられ,この後に見る会社更生よりも簡易迅速に,旧和議法の弊害を克服したものとして,平成11年に成立し,平成12年4月1日に施行されました。続いて,個人再生手続を設ける改正が行われ,平成13年4月1日に施行されました。 民事再生法が先行しましたが,併せて倒産法制の大改正があり,実は,破産法の改正は後半で,平成16年に全面的に改正され,平成17年1月1日に施行されました。法律の構成は民事再生法に近くなりました。ちなみに,破産法は,旧商法破産編から旧破産法となり(大正12年施行),現行破産法に至っていますので,破産法の方が先といえますね。なお,現行破産法は大改正でしたので,この講義の中でも,ときどき旧破産法との比較をする場合があります。⑴ 会社更生

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