351講義を終えるにあたって これで倒産法につき,すべての講義を終えました。いかがでしたでしょうか。最初に抱いていた倒産法のイメージは変わりましたでしょうか。倒産法は,法人や個人が経済活動を行う上で,社会的に必要不可欠で,しかも再チャレンジ,リスタートの機会の確保を図ろうとする極めて前向きな制度であることを感じ取っていただけたと思います。そうであればありがたいです。 本書を貫く,図の活用は,読者の皆さんにも自分で関係図と時系列を描く際の参考になるものです。通読した後は,再度読み返しながら,関係図と時系列を自分で描いてみるという作業を是非行ってみてください。いろんな気付きがあると思います。その気付きは,理解につながります。 倒産局面では,多数の債権者や利害関係人が存在し,その利害は様々ですが,皆さんが学んだ破産法と民事再生法という法律に従い,又はその立法趣旨に立ち返って検討することで,これらの権利関係を適切に調整するという作業は,どの立場で関与したとしても,極めて重要なことです。法の悪用や濫用という場面が生じてしまうのも現実ではありますが,制度やシステムを適正なものとして維持,発展させていくのも法の利用者の役割だと思います。読者の皆さんには,是非その一翼を担っていただきたいと思いますし,私たち倒産事件を取り扱う実務家も精進したいと思います。 ご清聴ありがとうございました。講義を終えるにあたって
元のページ ../index.html#37