民釈
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〔7〕10 第1編 民事訴訟における裁判官の釈明・指摘義務て訴訟結果の当事者による受容を促進する。7)裁判によって当事者が不意打ちを受けることを避けるため,一定の場合に,裁判所が判決の基礎にしようとする観点(法的観点および事実的観点)を当事者にオープンにすることを裁判所に義務づけ(法的観点および事実的観点の指摘義務),両当事者が裁判所の見解に対し態度表明をし(意見を述べ),裁判所の法的見解に影響を及ぼす可能性を開くとともに,その申立てを裁判所の(暫定的な)見方に適合させる可能性を与える。当事者が錯誤または見落としによって回避可能な不利益を被るのを,裁判所の釈明によって防ぐことができる。 このように釈明は,法的審問請求権の具体化のもと,不意打ちの裁判を避け,訴訟資料の明確化により実体的正義の実現を図る目的を有するものということができる。適正な釈明権の行使によって訴訟の集中化が図られ,無用な上訴の回避も期待することができる。そのさい,裁判所は一方の当事者の後見をするのではなく,両当事者のための補助と武器対等が釈明制度の根幹をなす。8) 釈明権の行使は,弁護士によって訴訟代理が行われている訴訟にあっても必要であり,民訴法149条は弁護士によって代理された訴訟を排除していない。しかも,日本では弁護士強制主義は採用されていない。弁護士によって訴訟代理が行われている訴訟(弁護士訴訟)にあっても,釈明権の行使が必要である。9)重要なのは,当事者が弁護士によって代理されている7)竹下守夫「釈明義務」百選〔第2版〕168頁,169頁;Reischl, Der Umfang der richterli-chen Instruktionstätigkeit – ein Beitrag zu §139 Abs.1 ZPO, ZZP 116(2003), 81ff.は,控訴審を瑕疵コントロール審とし,第一審手続の強化を目指した現行ドイツ民訴法のもとで,判決の「受容力(Akzeptanzfähigkeit)」を昂めることに,ZPO139条の意味を認める。8)Vgl. MünchKommZPO/Fritsche, §139 Rn.2.9)ドイツ民事訴訟法は弁護士強制主義を採用しているが,弁護士訴訟において釈明義務に関するZPO(ドイツ民訴法)139条の適用は排除されていない。裁判所の釈明義務が弁護士訴訟においても存在することは,今日では解決済みの問題とみられる。BGH NJW 2008, 2036[2037]; NJW 2003, 3626[3628]; NJW 2002,3317;Stein/Jonas/Kern, 23.Aufl., §139 Rn.26; MünchKommZPO/Fritsche, §139 Rn.5; Nober/Ghassemi-Tabar, Die Hinweispflicht im Zivilprozess, NJW 2017, 3265[3266]; Anders/Gehle/Anders, §139 Rn.4, 53(Anwaltliche Vertretung). これに対し,Musielak/Voit/Stadler, §139 Rn.6は,Stürner, Die richterliche Aufklärung, Rn.16を引用して,「範囲において控えめな裁判所による釈明は─もちろん139条は原則として弁護士訴訟においても妥当する─裁判所の釈明と弁論主義ないしは弁護士強制との間の体系的な関連から正当化されるのである。訴訟における裁判所と弁護士の間の必要な作業分担は,包括的な裁判所の指摘=釈明義務と調和しない。139条は,弁護士の不注意を助長⑶ 弁護士代理との関係

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