はしがき I平成8年(1996年)1月に「マンションを考える12章―区分所有法とその周辺」を刊行しました。これは,法務省法務総合研究所の教官・第三課長としてのお付き合いから,日本加除出版の機関誌「法の苑」に昭和63年春から平成7年春まで「区分所有法の周辺」と題して12回連載した内容をまとめたものです。この連載をまとめるに当たっては,かつて人事院主催の研修で「首都圏開発」の共同研究メンバーとなったU氏が建設省(当時)の住宅局長に就任していたので,多くの参考資料を提供していただき,なんとか1冊の本として刊行することができました。以来,行政官庁である建設省(国土交通省)と法律官庁である法務省の各データを収集し,咀嚼するなどして「マンション登記法(初版・平成13年)」を手始めに,年1冊のペースで登記関係の書籍を発刊,改版を続けてきました。しかし,さすがに私の書ける関係分野は少なくなりました。そこで,改めて,原点に戻り,マンションに関係する法律すべてをチェックし,問題点をピック・アップしてみました。その結果,民法からスタートしたマンション等の建築物に関する各法律の相互関係は,時代と共に複雑になり,問題を解決するには,どの法律の,いつの法律を適用すべきかが,必ずしも明確ではないことが分かりました。そこで,法令の改廃を丁寧にフォローし,数多い関係法令から適用条項を見つけ出し,ひとつずつ,回答を準備することとしました。しかし,そうはいってもすべての問題について「これだ」という回答を生み出すことは至難の業です。関係図書のほか,関係行政庁である法務省及び国土交通省の告示・通達・通知だけでは,説明できないことにも,しばしば直面しました。そのため,回答は留保して,問題点を指摘するにとどめたケースも相当数あは し が き
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