7Q1 法定相続人の相続順位とその相続分の割合平成25年改正前民法では、嫡出でない子の相続分は、嫡出子の相続分の2分の1と規定していましたが(平成25年改正前民法900条4号ただし書の前半部分。以下「本件規定」という。)、最高裁平成25年9月4日大法廷決定(民集67巻6号1320頁。以下「本最高裁決定」という。)は、本件規定は遅くとも平成13年7月当時において憲法14条1項に違反していたと判断しました。これを受けて、平成25年12月5日に民法を一部改正する法律が成立し(法律第94号。同月11日施行)、嫡出でない子の相続分が嫡出子の相続分と同等とし(民法900条4号ただし書の前半部分を削除)、経過措置で、新法(同改正部分)は平成25年9月5日(本最高裁決定の翌日)以後に開始のあった相続に適用するとしています。⑴ 本最高裁決定は、判決先例としての事実上の拘束性について限定的に解し、「本決定の違憲判断は、Aの相続の開始時である平成13年7月当時から本決定までの間に開始された他の相続につき、法的安定性の要請から、本件規定を前提としてされた遺産分割審判等の裁判、遺産分割協議その他の合意等により確定的なものとなった法律関係に影響を及ぼすものではないと解するのが相当である。」旨判示しています。⑵ そこで、平成13年7月1日から平成25年9月4日(本最高裁決定の日)までの間に開始した相続について、本最高裁決定後に遺産の分割をする場合は、最高裁判所の違憲判断に従い、嫡出子と嫡出でない子の相続分は同等のものとして扱われます。ただし、平成13年7月1日から平成25年9月4日(本最高裁決定の日)までの間に開始した相続であっても、遺産の分割の協議や裁判が終了しているなど、本最高裁決定が判示する「確定的なものとなった法律関係」に当たる場合には、その効力は覆りません。したがって、平成25年9月4日までに遺産分割の審判が確定している場合、同日までに遺産分割の協議が成立している場合は、この効力は維持され、覆りません。1 最高裁平成25年9月4日大法廷決定について2 平成25年9月4日以前の相続についてFOCUS 1嫡出でない子の相続分に関する民法改正について
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