i我が国では、社会の高齢化が急速に進んでおり、それに伴って、種々な相続や終活の問題が発生しております。特に、例えば、祖父が死亡したが、その相続処理が終わらないうちに、更にその相続人である父が死亡し、父の相続人である子が祖父と父の相続処理を共に行わなければならなくなる複雑な事例が存在します。そして、相続人である子が複数いるときに、一部の子に代襲相続が生じている場合もあり、特に、生前贈与である特別受益(民法903条)や寄与分(民法904条の2)等に関連して代襲相続が生じている場合には、相続処理を一層複雑化させる要因となっています。また、再転相続、代襲相続等による意図しない承継を避けたり、また、自らの老後の生活設計等のため、死因贈与、負担付死因贈与、遺贈、負担付遺贈が検討される場合もありますが、それによって、結果として、相続人等の間で複雑な問題が生じるケースも見受けられます。さらに、相続税の計算についても、祖父の遺産分割が終了しないうちに、その相続人である父が死亡した場合に、どのように行うかの問題があり、この場合に相次相続控除等の問題が発生しますし、また、相続の放棄、代襲相続、特別受益等における相続の計算も複雑な面があります。そこで、本書においては、主に代襲相続、再転相続、数次相続、死因贈与、負担付死因贈与、遺贈、負担付遺贈における問題点のほか、相次相続控除等の相続税法上の問題点を取り上げ、著者2名が分担執筆をし、Q&A方式で、適宜図表を用いるなどして平易かつ簡潔に解説することを心がけたものです。なお、本書は、一部著者の法務局勤務時代の先輩の著書である、髙妻新・荒木文明・後藤浩平『全訂第三版補訂 相続における戸籍の見方と登記手続』(日本加除出版、2022年)、幸良秋夫『新訂 設問解説相続法と登記』(日本加除出版、2018年)等を参考にさせていただきました。また、本書の執筆に当たり、社会保険労務士で元行政書士である𠮷川康代氏(東京アライズ社会保険労務士事務所所属)に判例の収集、原稿の推敲等についはしがきはしがき
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