5間が終了すると、一旦帰国し再び来日するということを繰り返したり、あるいは認められた在留期間を超えて残留(オーバーステイ)して本国の家族に送金し続けたり、あるいは、日本人男性と婚姻するなどして定着していきましたが、2005年に歌手やダンサーとしての興行活動を目的とした就業ビザの発給に係る審査が厳格化されたことから、新規にフィリピン等から入国し興行活動をする女性は激減し、これらの産業には既に日本に定着している者が従事していることが多くなっています。アメリカによる支配時代のフィリピンでは、公用語を英語、スペイン語及びタガログ語として、アメリカの公立学校のカリキュラムで英語による小学校教育が行われました。独立後は、タガログ語をもとにしたフィリピノ語を国語と指定し、フィリピノ語と英語を公用語とすることが定められていますが、フィリピン全土に180以上ともいわれる言語があるため、国内の共通言語としての英語の必要性は高いのです。フィリピンでは、若年層の人口比率が高く、識字率は98%で中等教育就学率も高いのですが、国内の賃金水準が高くないことから、人材の海外流出が進んでいます。フィリピン国内ではジェンダー・ギャップは少なく、大家族制に支えられて女性の社会進出も進んでいるのですが、男女ともに、英語力を武器として、より賃金が高い外国での就労を繰り返す者が多くなっています。一般的に1,000万人以上とされる在外フィリピン人の約半数は、移住先国の国民との親族関係や専門職としての就労を目的として、北米、オーストラリア等の英語圏先進国に永住しています。これに対して、出稼ぎを目的として年間100万人が出国する移民労働者の内訳は、男性は国際航海船舶の乗務員か、配管・溶接工等の技術者や単純労働者としてサウジアラビア、アラブ首長国連邦やカタール等の湾岸諸国に在留する者が多く、女性はエンターテイナーや家事労働等のサービス業に従事する者が多くなっています。2000年代以降は、外国企業がフィリピンに置かれたコールセンターにカスタマーサービスの業務委託をするBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)産業が急成長しているほか、休暇を楽しみながら英語を勉強するリゾート留学やコロナ禍で成長した遠隔で集中的な英語教育を受けるオンライン留学等に人気が集まっています。column2フィリピンの英語と経済
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