11私はフィリピン人女性ですが、結婚の約束をして日本で同居していた日本人男性が出ていき、ほかの女性と暮らし始めました。婚約破棄として、慰謝料を請求することはできるでしょうか。24この事例では、日本国内にいるフィリピン人の相談者が日本人男性と結婚の約束をして同居していたところ、この男性が他の女性と同居を始めたことから、婚約の破棄として男性に慰謝料を求めたい、というものです。なお、この相談の事例では、婚約はどのような場合に成立するのかが問題になります。日本とフィリピン人の婚約の成否については、日本の国際私法に基づいて実際に適用される国や地域の法(準拠法)が決められ、その準拠法において判断されますが、以下、この事例においては、相談者の婚約については日本国内で有効に成立しているものとします。⑵ 事例の特徴ア 婚約についてア 日本での婚約について日本では、婚姻することを事前に合意すること、いわゆる「婚約」という言葉それ自体は一般的です。しかし、日本の民法には婚約について明文で定めた規定はありません。したがって、婚約が何をもって成立するのかという問題や、そもそも婚約にどのような法的な効果があるのか(例えば、この相談事例のように不当に破棄された場合、婚約はどうなるのか、賠償問題になるのか等)といった問題は、日本では民法の解釈問題とされています。婚約破棄による損害賠償請求日本における日本人とフィリピン人との婚姻1│ はじめに⑴ 事例の概要第1 婚約・婚姻・再婚
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