学労
23/68

2 教員の仕事に見合うワークルールをどう考えるか現状の教員の労働問題をめぐる議論では、「給特法の廃止」「部活動の外部委託」の二つが中心的なテーマになっています。しかし、実際はこれだけで問題が解決するという単純なものではありません。3対応もしなければならず、多くの先生たちは疲弊しています。こうした状況を受けて、教員志望者数も年々減少しており、教員の質の確保が難しくなっていることが指摘されています。教員の労働問題は、今や多くの人に認識されている社会問題でもあるのです。教員の労働問題の解決が難しい一因として、ひとくくりに教員といっても校種・教科・校務・部活動等によって仕事量も働き方も全く異なっており、専門的で裁量の大きい仕事であるため、統一的なワークルールの適用が難しいという点があります。そのため、ある教員にとっては働きやすくなったとしても、別の教員にとっては働きづらくなってしまうおそれがあります。また、学校は民間企業と比べて管理職の数が非常に少なく、校長と教頭の二人しか管理職のいない学校が大半です。しかもほとんどの管理職は教員出身であり、授業や生徒指導といった教育活動は得意であっても労務管理は専門外です。そのため、ただでさえ裁量が大きく労務管理が難しい教員の仕事を、校長と教頭の二人で管理することは容易ではありません。労働基準法に基づいて教員に残業代を支給した場合、「意図せざる結果」がもたらされる可能性もあります。日本の労働基準法は、労働者の能力や成果・労働密度ではなく、労働時間に基づいて賃金を決めます。そのため、もし労働基準法を杓子定規に適用すれば、部活動が大好きで毎日指導したい先生が残業代を求めて「ブラック部活動」化させる、あえて残業代を求めてダラダラと授業準備をする、同じ残業序章 弁護士として教員の働き方を考える

元のページ  ../index.html#23

このブックを見る