学労
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22第1章 教員の労働時間2   ガイドラインの内容に関する評価答申は、罰則を設けないことについて「働き方改革推進法におけるこの制度改正は現在国家公務員や一般の地方公務員には適用されていないことを踏まえると、公立学校の教師について罰則を伴う法規とすることは慎重であるべき」と説明しています。しかし、働き方改革推進法が公務員に適用されていないのは働き方改革推進法が前提とする労働基準法上の時間規制の適用を受けないからにすぎないこと、学校における働き方改革が働き方改革推進法を踏まえて実施されることに鑑みると、答申の説明は罰則を設けない理由を説得的かつ十分に示したもとのは言い難いのではないでしょうか。また、Q&Aにおいて、持ち帰り業務について在校等時間に含まないとしている点(<第7条に規定する「指針」(上限時間関係)について>3)は、過重労働の密行化を許すものであって、給特法改正の趣旨に合致しないと考えられます。当該Q&Aにおいては、将来的に持ち帰り業務を在校等時間に含める方針を示すのではなく、校長が「児童生徒等の資質、能力を育む上で、限られた時間の中でどの教育活動を優先するかを見定め、それを踏まえた適切な業務量の設定と校務分掌の分担を図る」形で管理運営責任を果たす方向性が示されていますが、校長が個々の子どもの資質、能力に対する認識を具体的に持つ機会は極めて少なく、現実にかかる機会を持つのは担任であることを考えれば、校長が一人一人の子どもについて優先すべき教育活動を判断することは困難です。子ども一人一人に必要な教育活動の判断を困難にする方針は、「令和の日本型学校教育」として文部科学省が重視する「個に応じた指導」とも合致しないように思われます。必要な持ち帰り業務を在校等時間に含める制度設計が必要ではないでしょうか。

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