学労
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言ではありません。つまり、給特法の存在は、市場原理に基づく経済学の視点からは、国私立学校の人件費に極めて不公正な制約を課しているのです。国私立学校の多くで違法な給与体系が導入されている背景にはこのような事情がありますが、形式的に労働基準法に違反する状況をどのように改善すればよいでしょうか。一つの方法としては、給特法に代わる給与体系を公立・国私立問わず、全ての教員に適用する法制度を構築することです。後述のように、裁判所は教員の仕事の特殊性に鑑みて特殊な給与体系を講じる必要性を示しており(Q1参照)、しかも裁判所は教員の仕事の特殊性を「公立」の教員に限定していません。教員の業務が自発性と創造性に依るところが大きく、単純に時間や結果によって計測できない性質を有する点や、教師としての責任と自覚に基づいて遂行される点は、公立教員であっても国私立教員であっても変わりません。したがって、本書では、教員の仕事の特殊性に応じて全ての教員に適用される特殊な給与体系を法制度として構築すべきであると考えています。24第1章 教員の労働時間

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