学労
38/68

3   保護者からの 「担任の先生からすぐに連絡がほしい」 という連絡以上を踏まえて、設問を検討してみますと、保護者からの「担任の先生からすぐに連絡がほしい」という連絡が、いかなる理由によるものかによってその対応は異なると考えられます。例えば、公立学校の場合、災害に匹敵するような緊急事態であれば、時間外労働を命じることができる類型に該当すると言えるでしょう。もっとも、そのような事態はごく例外的であり、単に、「担任の先生とすぐに話がしたい」「今すぐ連絡をとりたい」、というだけでは、時間外労働を命じる根拠として不十分です。したがって、保護者から「担任の先生からすぐに連絡がほしい」という連絡があった場合は、災害時等の緊急事態等の例外を除き、原則として勤務時間外に保護者対応を強制的に命じるこ48を結び、これを労働基準監督署に届け出ていることが必要です(労働基準法36条)。もっとも、災害その他避けることができない事由によって臨時の必要がある場合には、例外的に時間外であっても労働させることができ(労働基準法33条1項)、公務のために臨時の必要がある場合も官公署の事業に従事する国家公務員及び地方公務員については正規の勤務時間を超えて勤務を命じることができます(労働基準法33条3項)。公立学校の教員の場合は、この規定の読み替え5により、公務上臨時の必要があるときに時間外勤務を命じることができるとされ、この場合には、職員の健康及び福祉を害しないように考慮しなければならないとされています6。また、管理職以外の教育職員については、①校外学習その他生徒の実習に関する業務、②修学旅行その他学校の行事に関する業務、③職員会議に関する業務、④非常災害の場合、児童又は生徒の指導に関し緊急の措置を必要とする場合その他やむを得ない場合に必要な業務等、政令に定める基準に則り条例で定める場合に限って、時間外勤務を命じることができます7。第1章 教員の労働時間

元のページ  ../index.html#38

このブックを見る