学労
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2   部活動中の生徒の体調不良等の対応と経費負担部活動中には様々な事故や生徒の体調不良等が発生しますが、学校における安全配慮義務は生徒の生命及び身体の安全に配慮すべき義務と考えられますから、部活動中の事故の発生を未然に防止すべき事前的な義務のみならず、部活動中の生徒の体調が悪くなった場合には、その程度に応じて病院に連れていく義務も包含されると考えます。したがって、本件のように部活動中に生徒の体調が悪くなったときに顧114そして、分担された校務が「職務」ですから、部活動業務は教員の職務といえ、これは公務に該当します。また、部活動は「学校教育の一環」ですので、公式大会だけでなく、その他の場合であってもその活動目的で顧問による出費が必要となる経費については、合理的な手続と算出法のもと、出張費として当然請求しうるとするべきです。この点、学校文化で当然のように行われている、教員による経費の安易な立替払い等は、法的な観点からは厳に慎むべきだと思われます。以上から、本件では顧問はガソリン代を学校に請求できると考えられますが、本件の問題は単にガソリン代の請求の可否にとどまらず、仮に何らかの事故が起こった場合に、その事故が公務災害に当たるかどうかにも関わるものです。部活動業務での出張については、生徒を引率する場面と教員のみが打合せ等に出席する場面が考えられますが、勤務時間の内外を問わず、学校の管理下にある活動であれば公務として取り扱うべきです(公務遂行性)。教員は学校文化の中でこれまで様々な無償労働や自身の持ち出しに慣れてしまっているため、このような請求ができるかどうかについては無頓着ですし、どこまでが公務災害の範囲かという問題にも無頓着ですが、職務の遂行に係る費用やリスクは、当然に学校側が負担すべきではないでしょうか。第2章 部活動の労働問題

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