学労
46/68

1   職務命令とその適法性の判断基準公立学校の教員は地方公務員であり、その関係は地方公務員法などの法令や条例等によって規律されています。これに対して私立学校の教員は労働者であり、その関係は使用者との間の労働契約などによって規律されています。Q.A.118  学校内で教員同士の交際が生徒間で噂になり、保護者からも否定的な意見が出されました。教員に交際をやめさせたり、交際を理由に懲戒処分を行ったりすることはできるでしょうか。地方公務員法は、「職員は、その職務を遂行するに当って、法令、条例、地方公共団体の規則及び地方公共団体の機関の定める規程に従い、且つ、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない。」(同法32条)と定め、労働者についても労働契約に基づき「一定の範囲での労働力の処分に関する使用者の指示、命令としての業務命令に従う義務がある」1とされています。職務遂行についての指示(公務員の場合には「職務命令」、公務員以外の労働者の場合には「業務命令」と呼ぶことが多いが、以下では「職務命令」に統一。)は、無限定に認められれば公務員や労働者の自由を過剰に制約することとなります。適法な職務命令の要件は、①職務上の上司が発したものであること、②職務遂行に必要かつ合理的な範囲内であること、③法令等に違反しないこと、の三つであると整理することができ第3章 教育現場の様々なワークルール  教員の交際が同性間であれ異性間であれ、校長が交際をやめるよう職務命令を出すことはできず、もちろん交際を理由として処分権者から懲戒処分を行うこともできません。 教員の懲戒処分(教員同士の交際)

元のページ  ../index.html#46

このブックを見る