学労
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2   本件における交際禁止の職務命令の可否校長は教員の職務上の上司に当たりますので、上記①の要件は満たされます。しかし、教員同士が交際をしていても、通常は教員としての職務遂行に影響が出るとは考えられませんので、上記②の要件は満たされません。また、他人との交際は、個人の内心や人格の発展、自律といった重要な自由や権利であり、これを禁止するような職務命令は憲法13条や労働契約法3条1項ないし3項の趣旨に反しており、職務命令に関する権限の逸脱又は濫用に当たると考えられます3。119ます。このうち、②について、私生活上の行為であっても職務遂行に関係がある場合には職務命令の対象になり得ることには注意が必要です。また、学校や教員との関係では、①について、学校教育法37条4項が「校長は、校務をつかさどり、所属職員を監督する。」と定めており、校長が職務上の上司に当たると解されていること、③について、教育基本法16条1項が教育への「不当な支配」を禁止していることが重要です。なお、ひとたび適法又は有効2な職務命令が行われたにもかかわらず、これに従わなかった場合には、公立学校の教員も私立学校の教員も懲戒処分の対象となる可能性があります。したがって、教員同士の交際を禁止する職務命令を適法に出す余地はなく、当然ながら交際そのものを理由として懲戒処分を行う余地など全くありません。また、服務規程や就業規則に交際を禁止する規定を設けることも、同様に違法であり無効であると解されます。例外的に教員間の交際がもつれ、ストーカー行為やセクシャルハラスメント行為が発生している場合には、これらの行為がストーカー規制法に違反することや男女雇用機会均等法11条1項がセクハラについて雇用管理上必要な措置を講じるべきことを定めていることから、これらの行為をやめるよう職務命令を出すことができ、場合によってはQ27 教員の懲戒処分(教員同士の交際)

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