学労
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193本書を最後まで読んでいただき、ありがとうございます。読者の方の中には、これまで悩んでいた問題の解決策を見つけた方もいらっしゃるでしょうし、モヤモヤした読後感をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。この「あとがき」では、本編では書きづらかった、ごく個人的な考えを書き連ねていこうと思います。私は、弁護士の立場で、学校から働き方に関する法律相談等を受けているのですが、法律学と教育学、又は法律実務と学校現場は、どうも遠い関係にあるようです。教員免許を持つ弁護士はまだまだ少数ですし、小・中・高校での教員経験がある弁護士は極めて稀な存在です。教育委員会や学校法人の顧問弁護士を務め、あるいはスクールロイヤーとして活動している弁護士であっても、そのほとんどは、教員免許を持っておらず、教員経験もないのが実情です。私自身も、その多数派の弁護士の一人です。本書は、現役の弁護士が中心となって執筆したものです。中には、教員免許を持ち、教員経験のある執筆者もいますが、執筆者の多くは、基本的に法律家側の人間です。学校で何かトラブルが起きたときに、弁護士をはじめとした法律家が使う物差しは、当然ながら法律です。法律の要件に当てはめて、違法かどうかを判断するのが、我々の仕事です。しかし、学校の現場では、法律が想定しない出来事が日々起きているでしょうし、法律を機械的に適用すると、かえって非常識な結論になってしまうことも珍しくありません。往々にして、法律家には、全あ と が きあ と が き

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