10 IPA「IT人材白書2017」13頁によれば、米国のIT人材のうち、IT企業所属が34.6%、それ以外の企業への所属65.4%であるのに対し、日本のIT人材は、IT企業所属が72.0%、それ以外の企業への所属が28.0%となっている。統計にある米国以外の国(カナダ、イギリス、ドイツ、フランス)についても、IT人材のうちIT企業所属はいずれも50%未満であり、日本のIT企業所属の割合は突出している。第2 アジャイル開発とウォーターフォール開発との比較11 内閣府「令和3年度 年次経済財政報告」122頁3 本書で扱うアジャイル開発(スクラム) 本書で扱う「アジャイル開発」は、最もよく用いられている開発手法である「スクラム」を想定している。スクラムは開発の進め方のフレームワークであり、一般に「アジャイル開発」と呼ばれている開発手法は、このスクラムをベースに、エクストリーム・プログラミング(XP)など他のアジャイル開発手法から生まれた様々なプラクティスを柔軟に取り込んだものが多い。1 ウォーターフォール開発 ソフトウェア開発手法として、アジャイル開発とよく対比されるのは、いわゆるウォーターフォール開発と呼ばれる手法である。ウォーターフォール開発では、ユーザがソフトウェアに求める要求事項を開発プロジェクトの初期段階で全て洗い出して整理し、開発対象とするものを要件として固定する(要件定義)。その上で、設計、実装(プログラミング等)、テストというそれ7は、ユーザとなる企業の側にも、後述するプロダクトオーナーの職責を十分に果たせる、ソフトウェア開発のノウハウを有する人材が一定程度いることが望ましいところ、日本ではIT人材がIT企業(ベンダ等)に偏在していることから10、導入が進みにくい面もある11。もっとも、特に近年では「アジャイル」というキーワードがソフトウェア開発以外の様々な場面で用いられていることもあって、アジャイル開発に関する社会的な認知と関心が高まっており、普及は着実に進んでいる。第2 アジャイル開発とウォーターフォール開発との比較
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