ア開発
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3 前掲注1 IPA「アジャイル開発の進め方」  IPAモデル契約では、アジャイル開発(スクラム)の基礎的なプロセスと役割分担(ロール)のうち、当事者の義務に関わる部分は契約書本体の条文において示されている。他方、アジャイル開発の進め方の詳細部分については、そのプロジェクト、そのチームの特性に合わせて自律的に改善されることもあり得るため、契約には書き込まれておらず、その代わりに「アジャイル開発 進め方の指針」という文書を参照することとしている。 この進め方指針は、IPAの「アジャイル開発の進め方」という文書3をベースとしたものであり、アジャイル開発における一般的な進め方を示したものといえる。 IPAモデル契約2条6項では「6.甲及び乙は、本プロジェクトにおけるスクラムによる開発の進め方については、本契約における定め又は当事者間での別段の合意がない限り、本契約に添付する「アジャイル開発 進め方の指針」(以下「進め方指針」という。)を指針として参照する」との定めを置いている。このような規定はそれほど一般的ではないことから、外部の文書を「指針として参照する」との条項が、法的にどのような意味をもつのか問題となり得る。 この点について、IPAモデル契約の解説では、「当該指針について、本項で『開発の指針として参照する』こととした趣旨は、進め方指針が現場レベルでの認識合わせに用いられる、比較的技術的な内容の文書であることから、記載された内容について契約書本体と同様の拘束力を持たせるべきではないものの、そこに記載されている進め方と大きく異なる方法をとる場合には、第6条第8項に定められた協議及び変更の手続を経ることで両当事者がhttps://www.ipa.go.jp/files/000065606.pdf 第5章 IPAモデル契約(2020年3月公表)の活用(2)アジャイル開発 進め方の指針ア 契約書と進め方指針の分担 なお、この文書は、2017年版のスクラムガイドがベースとなっていると思われる。134イ 「指針として参照する」の意味

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