ア開発
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はしがき■あたって、(やはり数は多くないものの)筆者がこれまで見聞きしたトラブル事例や公表されている裁判例を考慮するよう努めました。なお、裁判例のうち、読者の参考になりそうなものについては、第3章でまとめて紹介し、それぞれコメントを付しています。 本書の概要は、以下のとおりです。 第1章(アジャイル開発の紹介)では、ウォーターフォール開発との比較や、一般的なアジャイル開発(スクラム)の進め方を概説しています。 第2章(法務的観点から見たアジャイル開発)では、第3章以下につながるイントロダクションとして、アジャイル開発の外部委託の活用形態や、外部委託の際に考慮すべきアジャイル開発の特徴についてまとめています。 第3章(アジャイル開発と契約)では、公表されているモデル契約の紹介を行うとともに、アジャイル開発の外部委託契約において検討すべきポイントについて論じています。また、アジャイル開発に関する裁判例のうち、読者の参考になりそうなものを紹介しています。 第4章(アジャイル開発と偽装請負)では、かねてより問題となっていたアジャイル開発の偽装請負該当性について、厚生労働省が2021年に公表した「「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」(37号告示)に関する疑義応答集(第3集)」の内容を検討しつつ、アジャイル開発のイベントやプラクティスへの具体的なあてはめを試みています。 第5章(IPAモデル契約(2020年3月公表)の活用)では、IPAのモデル契約をカスタマイズする際の注意点を示すとともに、カスタマイズの具体例(第3章や第4章で検討した内容をもとにした、モデル契約自体のアップデート案に近いもの)を示しています。 アジャイル開発は、試行と改善を重ねながら、ユーザにとって真に価値のあるプロダクトを開発するものですが、何を開発するか(What)はユーザが決めるものの、それを具体的にどのように開発するか(How)については、開発者(エンジニア)に大きな裁量が与えられており、チームで自律的に開

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