国相
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4 国際的な相続税申告手続よる」と定めています。被相続人が日本国籍の場合,たとえ被相続人が海外在住でも,相続人が海外在住でも,遺産が外国にあっても,通則法に基づけば,日本法が準拠法となります(外国で日本の相続法が適用されるかは別の問題です)。一方外国では,外国の国際私法に基づいて,同じ相続に外国法が適用されることもあります。両者に矛盾が生じる場合,これをどのように解決すべきかについて,難しい問題が生じます。イ 反致の考え方 被相続人が日本在住の外国人である場合,通則法36条によれば,被相続人の本国法である当該外国の相続法が準拠法となるはずです。しかし,被相続人の本国法の国際私法が,たとえば「相続は被相続人の居住地法による」と定めている場合には,反致(同41条)というルールによって,居住地法である日本法が準拠法となります。この反致というルールは複雑で理解が容易ではありません(Q7,8参照)。 このように準拠法を確定するためには,日本のみならず外国の国際私法も調べて,パズルを解いていくような検討をすることが必要となります。 国際相続では,日本と外国の裁判所で並行して相続手続が進行することがあります。この場合に,外国の裁判所の判決や決定が,日本で効力を持つかが,外国判決の承認の問題です。外国判決の承認のための要件は,民事訴訟法118条や家事事件手続法79条の2に規定されています。 また,日本の裁判所で相続手続を進めても,外国の遺産にその効力が及ぶのかも問題となります。これは当該外国法における,外国判決の承認の問題です。 日本のように遺産を受け取る相続人や受遺者が主たる納税義務者となる方⑶ 外国判決の承認の問題⑴ 相続税と遺産税5Q 01  どうして国際相続は複雑になるのか

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