国相
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 2014(平成26)年,カリフォルニア州で,現地在住邦人向けに国際相続に関するセミナーを開催しました。当時は「国際相続」という言葉も珍しく,私にとっても初めての試みでした。それから約10年が経ち,現在の国際相続の専門家に対するニーズの高まりは,当時とは隔世の感があります。 国際的なビジネスでは,インコタームズやウィーン売買条約など,ルールの統一化も進んでいます。しかし相続法は,当地の歴史・文化・宗教に深く根ざしているため,各国・地域により大きく異なります。相続を巡る税務も同様です。そこで,国際相続の円滑な処理のためには,日本だけでなく外国の法律や税務に関する知識,各国・地域の専門家との協働が必要となりますが,これらは実際高いハードルであり,国際相続を取り扱える専門家は多くないのが現状です。 本書は,特にこれから国際相続を取り扱おうとする専門家を対象とし,主にアメリカに焦点を当て,国際相続を巡る諸問題について,私がこれまで取り扱った実務を踏まえて基礎から執筆いたしました。また,エステートプランニングや海外投資に必要となる基礎知識,キャプティブ,デジタル遺産などにも可能な範囲で触れました。本書が今後,国際相続を手がける専門家のみなさまの一助となれば幸いです。 2017(平成29)年からアメリカ有数の個人資産税の専門家協会であるHawaii Tax Instituteの日米・アライアンス・プログラムのアドバイザリー・コミッティに加えていただき,日米の多くの一流専門家と意見交換をさせていただく機会を得られ,また年次プログラムにスピーカーとしてお招きいただいておりますことは,本書の執筆に当たっても大変貴重な財産となりました。お誘いくださったカリフォルニア州の畑晴美弁護士に,心より感謝申し上げます。1はしがきはしがき

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