令遺言
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4配偶者に対する相続税の軽減特例44444444第1 夫婦間の遺言ひと言アドバンス 配偶者には,被相続人の財産形成や維持に貢献したなどの理由から,相続税の軽減特例があります。 配偶者が取得した財産の額が,遺産総額に対し,配偶者の法定相続分相当額(子どもがいる場合には2分の1)以下であれば課税されませんし,他方,遺産総額が比較的少ないときは,配偶者が取得した財産の額が配偶者の法定相続分を超えたとしても,1億6000万円までであれば,相続税は課税されません。 配偶者には相続税の軽減があるとしても,一次相続後配偶者がまもなく死亡し二次相続がすぐに発生した場合には,配偶者の遺産が多いと二次相続では基礎控除(3000万円+600万円×法定相続人の数)のみとなり,相続人にはかえって多額の相続税が課税される場合もありますので,税理士に相談しておく方が安心です。case1 配偶者に全財産を相続させる遺言  25子どもからの親への遺留分侵害額請求 実際問題として,子どもから親(母)に対して遺留分侵害額請求をする例というのは,多くはないと思われます。それは,いずれ親(母)の相続があれば,母の持っている財産を子どもが相続することになると考えたり,亡くなった親(父)の考えを尊重したいという気持ちもあるでしょう。何しろ,父から母への相続ですので,あまりこれに異議を唱えたくないという面もあります。 もっとも,子どもから親への遺留分侵害額請求が絶対になされないとは断言できませんので,そのような事態が予想される場合には,配偶者の相続分を決める際には慎重さが必要です。

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