1子どものいない夫婦で作成する交差型(たすき掛け)遺言1111112交差型(たすき掛け)遺言の意義22222222第1 夫婦間の遺言・夫婦が互いに全財産を相続させるという「交差型(たすき掛け)遺・夫婦が互いに全財産を相続させるという「交差型(たすき掛け)遺言」では,二次相続のことを踏まえ,予備的遺言の内容も慎重に検言」では,二次相続のことを踏まえ,予備的遺言の内容も慎重に検討しておきましょう。討しておきましょう。・もし,夫の財産,妻の財産を,それぞれ別の親族に与える場合,予・もし,夫の財産,妻の財産を,それぞれ別の親族に与える場合,予備的遺言の中で財産を区別し,その記載する内容を工夫しておくの備的遺言の中で財産を区別し,その記載する内容を工夫しておくのがよいでしょう。がよいでしょう。case2お互いに全財産を相続させる夫婦間の交差型(たすき掛け)遺言 29 夫(清)の遺言においては「(清が先に死亡したときは)全ての財産を妻(花子)に相続させる」とあり,また,妻(花子)の遺言では「(花子が先に死亡したときは)全ての財産を夫(清)に相続させる」という内容の遺言を作成することが多くみられます。 筆者は,この夫婦が互いに,自身が先に死亡したときは生存配偶者に全財産を相続させる内容の遺言を「交差型遺言」とか「たすき掛け遺言」と呼んでいます。これは,先に死亡した人が,生存配偶者がその後の生活に困らないよう,また二人で築いた財産だからという理由で,生存配偶者に全財産を譲る(与える)という考えに基づくものであり,互いに配偶者を思いやる夫婦関係では多く見られる内容であって,その内容自体に問題はありません。 交差型遺言は,子どものいない夫婦だけではなく,子どものいる夫婦でも作成する例は少なくありません。なお,子どもには遺留分があることに留意しておきましょう。子どものいない夫婦の相続一妻と夫のきょうだいとの遺産分割 夫清が先に死亡すると,(夫婦間には子どもがいないため)その妻花子と,夫清のきょうだいである明が清の法定相続人になります。解 説
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