令遺言
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1性的マイノリティ(LGBTQ)と法制度1111112同性パートナーをめぐる自治体の取組22222222 現在,法律上,同性婚や,事実婚関係の夫婦間での相続は認められていません。性的マイノリティ(LGBTQ)の当事者は,調査によると日本国内では全体の3~8%(大阪市の調査結果)あるいは8.9%(電通調査)という統計もあり,近年,性的マイノリティ当事者による婚姻の平等や職場における差別などの訴訟が多く提起されています。 一部の自治体では条例などによってLGBTQ当事者への差別を禁止するとともに不利益な取扱いを行わないように職員への研修・啓発などを行ってきていますが,国全体,法制度は不十分な現状があります。 日本国憲法24条が「婚姻は,両性の合意のみに基いて成立」すると規定しているから,憲法は男女間以外の婚姻は認めていないという主張もありますが,憲法は「個人の尊厳」「平等」を最も大切な価値概念としています。 東京都では令和4年11月から「東京都パートナーシップ宣誓制度」が始まりましたが,日本では,LGBTQをはじめとする同性パートナーへの相続権は現在認められていません。これまではパートナー同士で養子縁組し,財産を残す例も一部にありましたが,同性パートナーとの婚姻関係を認め,相手に相続分を残したいという権利保障が求められています。自治体におけるパートナーシップ条例等が,次第に全国的に展開されてきたのも,社会や時代のさまざまな要請です。 これらの問題解消のためには既存の法制度の改正や,新たな法制度が待たれるところですが,本書との関係では,相続に関し,パートナーとの間での遺言を残すことを検討しましょう。70  第2 パ一トナー関係の遺言を検討する

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