Q&A 実務家のためのYouTube法務の手引き
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5序章  YouTuber側の目線からすれば,そうした「企業案件」を,例えば1か月に1回受けることができれば,それだけで年間500~1000万円といった金額の報酬を得ることができる,ということになり,広告収入と合わせれば,年間売上は1000~1500万円といった金額になります。「個人事業主」として,十分な金額でしょう。 そして,YouTubeは,ゼロから始めても,何かのキッカケで,チャンネル登録者数が一気に増える可能性のあるメディアです。今日最初の動画をアップロードしたYouTuberが,数か月後にチャンネル登録者数10万人,半年後に20万人となる可能性は,十分にあり得ます。もちろん,「全員がそうなるわけではない」,「趣味のまま終わってしまう人の方が多い」という世界ではありますが,「チャンス」や「可能性」は十分にある,ということです。 今この瞬間はまだ「趣味」でしかないYouTuberやVTuberも,僅かな期間の経過後に,それを「職業」にしている可能性は,十分にあるのです。 また,先ほど,登録者数が100万人を超えるチャンネルは約500個存在すると述べました。この場合,同様の計算式,及び,動画再生数1回あたりの広告収入を,(まだこの規模では「トップ」とまではいえないとして)0.2円とすれば,1動画当たりの広告収益は,10~20万円,つまり,1か月に20本,新しい動画を公開すれば,月収は200~400万円程度です。そして,こうした規模のYouTuberやVTuberであれば,「企業案件」の単価は数百万円となっているケースが多いことから,企業案件の報酬を合わせた年間売上は,5000万円~1億円程度になっているケースも少なくありません。 そして,そのような売上が発生しているチャンネルの場合,「個人の趣味」はもちろん,もはや「個人事業」の規模も超えています。したがって,法人化や,動画編集等,出演以外の業務を担当する従業員の雇用も行われているケースが大半です。つまり,視聴者目線では相変わらず「個人として活動しているYouTuber」であっても,その運営主体は法人化されており,例えば,動画の企画を考えるメンバー,編集を行うメンバー,企業案件の打診に対応するメンバーなどが存在し,形式的にも実態的にも,「事業」となっているケースが多いのです。

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