Q&A 実務家のためのYouTube法務の手引き
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5 原盤権375 「歌ってみた」動画と音楽の利用方法稿する場合,JASRACやNexToneが管理している楽曲や歌詞であれば,原則として,使用を届け出ることなく,著作権法に抵触することなしに使用することができます。 管理する楽曲であるかどうかは,JASRACの作品データベース検索サービス「J─WID」や「NexTone作品検索データベース」で検索することができます。ただし,管理されているのは一般的に楽曲や歌詞の著作権のみであるという点で注意が必要です。 CDや配信音源を流す場合,著作権だけでなく,レコード製作者が有する,著作隣接権の一つとしての「原盤権」(著96条~97条の3)の侵害に当たる可能性もあります。 レコードを販売するための必要な原盤(マスターテープ)の制作には,録音作業のコスト(スタジオ使用料,演奏者,シンガーの報酬),ミキシングやマスタリング等の編集費用など多くの費用が発生するため,レコード製作者が原盤制作の作業に必要な費用とリスクを負担する見返りとして,最終的に完成した原盤に関する権利がレコード製作者に与えられます。音楽に関しては,著作権と原盤権は全く別の権利であって,楽曲を演奏して配信する場合は,CDや配信音源は使わないので原盤権侵害には当たりませんが,CDや配信音源をそのまま流す場合は,著作権だけでなく原盤権にも気を配る必要があります。 例えばJASRACであれば,著作隣接権の管理を行っていないので,レコード製作者など,別途権利者の許諾をとる必要があります。著作隣接権を持っているのが誰か,というのは,日本では,いわゆる音楽ビジネス業界の業界慣行として,音楽出版社やレコード会社が当該権利を保有しているケースが多くなっています。また,契約によっては,著作権のうち一部の支分権(演奏権,録音権,出版権,貸与権等)や利用形態(ゲームに供する目的で行う複製,広告目的で行う複製など)のみがサイトの管理対象となっていることがあるので,注意が必要です。 著作権管理団体が管理していない楽曲を使用したい場合は,個別に権利者

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