Q&A 実務家のためのYouTube法務の手引き
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iはしがき 私は,弁護士として,ITやインターネット関連の法律問題,特にいわゆる「企業法務」,つまり企業をクライアントとして,その事業の法務サポートや,事業の中で発生する紛争の解決を手がけてきた経緯で,YouTuberやVTuberの方からも,依頼を頂くようになりました。 「YouTuber」や「VTuber」をどのように位置付けるか,というのは,複数の「視点」があり得るテーマだと思います。 よくマスコミ等で言われるように,「YouTuber」や「VTuber」は,10年前には存在しなかった,「新しい職業」です。ただ,そのビジネスモデルを分析すると,異なる「視点」もあります。YouTuberやVTuberは,「動画」という形でコンテンツを日々発信し,そのことによって広告収益等の形で収益を得る存在です。そして,それが「コンテンツ」であるが故に,「どのような内容のコンテンツを公開すると法的問題が発生するのか」といった法律問題が発生します。また,「序章」にて後述しますが,YouTuberやVTuberは,いわゆる「企業案件」といった形で,特定の企業から報酬を受け,それに対応する役務を提供することがあります。そして,その関係が「契約」であるが故に,「どのような条件等で契約を行うか」といった法律問題も発生します。 そのように抽象的に捉えた場合,YouTuberやVTuberは,10年以上前から存在し続けている,「インターネット上でコンテンツ配信等によって収益を得る事業主」の「現在形」である,とも言い得ます。すなわち,10年以上前から現在に至るまで,日々「テキストや画像」といった形でコンテンツを公開し,同様の形で収益を得ている,例えば「ニュースサイト運営者」といった事業体は,存在し続けています。インターネット回線の高速化などに伴い,その「コンテンツ」が,テキストや画像から「動画」に変わってきたが故に登場した存在が,はしがき

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