Q&A 実務家のためのYouTube法務の手引き
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6 権利の帰属に関する条項について7 損害賠償義務に関する条項について18128 動画編集を代行依頼するときの重要事項 著作権等の知的財産権が関係することとなるので,権利の帰属を明確に定めておく必要があります。 本件業務を通じて生じた動画の著作権(著27条及び28条の権利を含む),業務の過程で生じる発明,考案又は創作についての特許権,実用新案権,意匠権,商標権等の知的財産権を受ける権利及び当該権利に基づき取得される知的財産権,これらが全て委託者に帰属することとし,受託者は,本件業務を通じて生じた動画の利用について著作者人格権を行使しないこととしておく必要があります。 著作権法27条とは,「著作者は,その著作物を翻訳し,編曲し,若しくは変形し,又は脚色し,映画化し,その他翻案する権利を専有する」という「翻訳権,翻案権等」であり,同法28条とは,「二次的著作物の原著作物の著作者は,当該二次的著作物の利用に関し,この款に規定する権利で当該二次的著作物の著作者が有するものと同一の種類の権利を専有する」という「二次的著作物の利用に関する原著作者の権利」です。 また,動画の編集の際にBGMを使用するケースもあるので,受託者が第三者の権利を侵害しないことを保証させておく必要もあります。 動画編集作業の代行を依頼する場合,委託者が受託者の権利や利益を侵害する可能性はそれほど高くない一方で,受託者が委託者の権利や利益を侵害する可能性は高いといえます。 そのため,損害賠償請求が認められる範囲をできるだけ広く認める方が,委託者には有利であると考えられます。他方,損害賠償義務に関する条項を,受託者に有利な規定とする場合には,損害賠償請求が認められる範囲を,直接的かつ現実に生じた損害に限定する,損害賠償額の上限を委託料の範囲に限定する等の規定の仕方が考えられます。

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