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Ⅱ知的財産権の保護1 知的財産権とは「知的財産」とは、発明、考案、植物の新品種、意匠、著作物その他の人間の創造的活動により生み出されるもの、商標、商号その他事業活動に用いられる商品または役務を表示するものおよび営業秘密その他の事業活動に有用な技術上または営業上の情報をいいます。また、そのような知的財産について、特許権、実用新案権、育成者権、意匠権、著作権、商標権その他の知的財産に関して法令により定められた権利または法律上保護される利益に係る権利のことを総称して「知的財産権」といいます。4 第1章 アプリ開発前に知っておくべき契約・権利保護の基礎法改正が起きる分野でもあることから、注意が必要です。加えて、アプリ法務の観点からは金融規制、とりわけ資金決済法への留意が必要です。ゲーム分野を中心としてアプリ内で利用可能なポイントを販売したりするサービスを多く見かけますが、こうしたプリペイドの支払手段は「前払式支払手段」として規制され、その発行者は様々な規制を受けることとなります(資金決済法について191頁)。金融規制分野は、消費者保護の観点だけではなく、金融システムに与える影響や、マネー・ローンダリング(資金洗浄)対策といった視点から、他の分野と比較しても厳しい規制が課される場面も多く、一層の注意が必要です。このほかにも様々な規制が存在しますが、アプリ事業で問題となりやすい規制はある程度絞り込むことができます(ユーザー保護規制について210頁、広告・キャンペーン・マーケティングに関する規制について249頁)。本書では重要性の高いものを中心に、実務上気を付けるべき点も含めて解説します。知的財産権は、自身の知的財産を「他人に無断で使用されない」ことをその内容とする権利であり、権利者は、自身の知的財産権を侵害する行為に対して差止めや損害賠償を求めることができます。例えば、アプリの企画段階で、既に存在するサービスやアプリを参考にすることは少なからずあると思いますが、参考にするだけのつもりであっても、もし何らかの形で他社の知的財産権を侵害してしまうと、他社から知的財産権侵害を理由にサービスの差止めを申し立てられたり、損害賠償を請求されたりするという、極めて重大な結果をもたらしてしまう可能性があるのです。

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