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7 Google Playデベロッパー販売/配布契約第5.3条8 Android Studioのユーザーガイドでも、「アプリのエンドユーザー使用許諾契約(EULA)を準備することを検討してください。EULAは、許諾元の関係者、組織、知的所有権の保護に役立つため、アプリとともに提供することをおすすめします。」と、アプリ利用規約の作成は推奨されるにとどまっています(https://developer.android.com/studio/publish/preparing.html?hl=ja#publishing-gather)。Ⅱ アプリ利用規約とは 99約であるGoogle Playデベロッパー販売/配布契約7では、アプリ提供者は、自身が希望する場合は、アプリ利用規約(エンドユーザーライセンス契約)を添付できること、ただしアプリ利用規約とGoogle Playデベロッパー販売/配布契約の間に矛盾がある場合は後者が優先すること、アプリ利用規約はアプリ提供者とユーザーの間のみで結ばれるものであり、Googleはいかなる義務および責任を負わないことが定められています8。しかし、適切なアプリ利用規約を定めない場合に生じるリスクはApp Storeの場合と同様であるため、Google Playストアでアプリを配信する場合においても、アプリ提供者は自らアプリ利用規約を作成することを原則とすべきでしょう。事業者はサービスを提供するにあたって、誰とどのような内容の契約を締結するかを原則として自由に決めることができますが(契約自由の原則。民法521条1項)、契約内容を定めない場合は、民法等の法律がデフォルトルールとして適用されることになります。例えば事業者がユーザーに対して、債務不履行等に基づいて損害賠償義務を負う場合、民法がそのまま適用されると、過失の軽重にかかわらず、相当因果関係が認められる範囲で上限なく賠償する責任を負う可能性があります(民法415条、416条)。このようなリスクを抱えていると、サービスを無償または低廉な価格で幅広いユーザーに提供することが困難となります。また、コンテンツの著作権は、コンテンツを創作した者(著作者)に帰属するのが法律上のデフォルトルールであるところ(著作権法17条1項)、ユーザーが作成したコンテンツ(User Generated Contents:UGC)の著作権を事業者に帰属させたい(または事業者がユーザーから使用許諾を得たい)と考える場合、利用規約においてそのような条項を定めておく必要があります。このように、民法等の法律が定めるデフォルトルールがそのまま適用され3 適切なアプリ利用規約を定めない場合に生じるリスク⑴ 自社にとって不利なデフォルトルールが適用されるリスク

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