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192 第6章 いわゆる「資金決済法に基づく表示」とはムに登録したパスワードによりアプリ利用者のアカウントを認証させ、あらかじめアカウントと紐付けて登録したクレジットカードやプリペイドカードからその料金を引き落とし、決済する方法です。アプリ提供者はプラットフォーマーに対し手数料を支払う必要があるものの、自社で決済システムを構築する必要がなく、またアプリ利用者もアプリ提供者ごとに支払いに必要な手続をせずに済む点で、非常に便利な決済方法です。しかし、アプリ内での課金の頻度が高いゲームアプリなどでは、この方法を採用すると、購入の都度、AppleやGoogle等のプラットフォームが要求する決済用パスワードの入力を求められるなど、スムーズな課金行動に誘導できないという欠点があります。そこで、特に日本企業のゲームアプリで多く採用されているのが、アプリ内通貨として、ポイントを有償で一定量まとめて販売し、これらと引き換えに、アプリ内でサービスを受けたり、アイテムを取得したりすることができる方法です。そして、このアプリ内通貨に関する規制として重要なのが資金決済法上の「前払式支払手段」に関する規制です。以下、実務上問題となりやすい様々なケースや、重要なポイントについて整理し、規制の適否や内容について解説していきます。アプリ内通貨には、AppleまたはGoogleといったプラットフォーマーが提供するアプリ内決済システムを通じて有償で発行されるものと、キャンペーン等によるおまけとして無償で発行されるものとがあります。図表6―1のとおり、アプリ内通貨を有償で付与するかどうかは大きな分岐点となります。理屈上は、後者の無償で発行されるアプリ内通貨は「対価を得て発行される」(資金決済法3条1項1号・2号)ものではないため、前払式支払手段に3 資金決済法の適用対象まずは、発行している、または発行を予定しているアプリ内通貨が資金決済法上の「前払式支払手段」(資金決済法3条1項)に該当するかを確認する必要があります。その上で、一定の場合に「前払式支払手段発行者」として規制が適用されることとなります。その判断過程をまとめたフローチャートとして、図表6―1をご覧ください。⑴ 有償発行と無償発行

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