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7章210 第7章 アプリ提供者に課されるユーザー保護規制1つは、スマートデバイスのOSの特質によるものです。PCと異なり、スマートデバイスに搭載されるOSのアカウントは、初期登録を行う際にクレジットカード等の決済手段と紐付けられ、数回の操作で簡単に決済が成立します。ユーザーは、能動的に利用料の振込み等を行う必要はありません。この簡単な決済システムがスマートデバイスの利便性ともなっているわけですが、クレジットカード等の名義人が自ら日々の利用実績や毎月の請求の確認を行っていないと、課金されたことに気付きにくい仕組みともいえます。どこにでも持ち運びやすいデバイスであることとあいまって、保護者がデバイスから目を離した隙に子どもが有料サービスを利用して高額請求が発生してしまう事例が起きています。もう1つは、アプリサービスの特質によるものです。アプリのセールスランキングを見ると、上位のほとんどをゲームアプリが占めています。ゲームは、大人も楽しんでいますが、やはり子どもが好んでプレイする傾向にあり、費やせる時間量も、何かと忙しい大人の比ではありません。PCでは手軽にプレイできなかったオンラインゲームの面白さに子どもが触れやすく、また長時間のめり込んでしまうことで、有料サービスの行き過ぎた利用が発生することがあります。このようなアプリサービスの特質を踏まえた上で、アプリ提供者の立場から、未成年者による契約が事後に取り消される問題に法的にどう対処すべきかを、法律上の論点を押さえながら考えてみましょう。第1 民法が定める未成年者取引の取消制度アプリを利用する際には、アプリ提供者とアプリ利用者との間に、利用規約等に基づく契約が成立しています。アプリ利用者が有料サービスを利用すれば、成立した契約に従って、利用料金を支払わなければならないのが原則です。アプリ提供者に課されるユーザー保護規制Ⅰ未成年者による取引を保護するための規制インターネットサービスにおいて、未成年者が保護者の知らない間に有料サービスを利用してしまい、保護者が高額な請求を受けるという問題は以前からありました。アプリサービスにおいては、以下の2つの理由から、さらに身近な問題となっています。

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