率算定
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3離婚又は不貞の慰謝料請求事件3 最も多い離婚又は不貞の慰謝料請求事件では,非定型的慰謝料についてのみ請求されていたが,過失相殺の主張はいずれも採用されなかった。採用されなかった理由として,そもそも原告側の過失ないし落ち度として主張された事実を認められないというもの(【3】,【10】)と,原告側の過失ないし落ち度として主張されたものが,被告との関係において,過失ないし落ち度として考慮すべきではないというもの(【1】,【5】,【14】)があった。判示からは,非定型的慰謝料について,裁判所が過失相殺の適用があると考えていたか否かは判然としない。 もっとも,【14】は,被告が,原告妻が夫の浮気を承諾する内容の誓約書を夫に差し入れたことを過失相殺の事情として主張したのに対し,判決は原告の真意を反映したものとは解されず,婚姻秩序の根幹に背馳し,その法的効力を首肯し得ないばかりか,不貞相手の被告も原告が不貞を不問に付す意向でないことは容易に推察可能であったというべきであるとして,過失相殺の判断はせずに,減額事由とならないと判示した。これは減額事由を慰謝料算定の諸般の事情の一つとして総合判断することを前提としているとも考えられる。【3】は,原告妻が重婚の届出をした外国籍の被告夫に対し初婚の婚姻届が受理されたことを告知しなかったことを過失相殺の事情として考慮すべきである旨主張したが,被告夫は初婚の婚姻届書を作成し,その届出が33 離婚又は不貞の慰謝料請求事件である。 【18】は,婚約不履行に基づき非定型的慰謝料と婚約指輪,家具購入費用の財産的損害の賠償請求をした事例である。非定型的慰謝料の算定については,過失割合5割を認めているが,慰謝料総額を出してからその5割を損害と認定するのではなく,交際期間や婚約期間,婚約解消の事情などの慰謝料算定のための諸般の事情に過失割合(責任割合)5割も事情として加えてから慰謝料額を算定している。財産的損害については,損害額を認定した上で,過失相殺を適用している。これは,非定型的慰謝料の算出は,原告側の過失や落ち度を慰謝料算定の減額事由として総合判断し,過失相殺を適用しないことを明らかにしたものと解される。

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