事案から学ぶ 履行困難な遺言執行の実務
36/62

Column 2 遺言に基づく登記申請が認められない場合の措置 自筆証書遺言においては、遺贈等の目的物件の特定が不十分である場合や、遺言文言の趣旨が定かでない場合がしばしばあります。 このような場合、相続人資格者全員から、「遺言書記載の物件は、所在:~の物件に間違いない」あるいは「遺言書記載の文言の趣旨は、受遺者~に対して遺贈するという趣旨に間違いない」というような趣旨の上申書を提出すれば、登記所としても受け付けられます。 また、遺言者に相続人資格者が存在しない場合には、いわゆる相続人不存在の相続財産管理人(令和5年4月1日以後は相続財産の清算人)選任の手続をすればよいのです。 しかし、相続人資格者がいて、その相続人資格者との間で遺言の効力あるいは遺言の解釈について、意見の対立があって、遺言の目的物の特定や遺言の解釈について相続人全員の上申書を提出できない場合には、どのような手続をすればよいのでしょうか。 当該遺言によって、遺産たる不動産の所有権を取得したと主張する者が他の相続人資格者を被告として、遺産たる不動産について、所有権確認請求訴訟を提起すべきところです。68 第2章 履行困難な遺言文言

元のページ  ../index.html#36

このブックを見る