事案から学ぶ 履行困難な遺言執行の実務
47/62

設問1 設問1  長男Bは、「妻Aが死亡するまで同人をきちんと扶養するこ 長男Bは、「妻Aが死亡するまで同人をきちんと扶養するこ 長男Bは、「妻Aが死亡するまで同人をきちんと扶養するこ 長男Bは、「妻Aが死亡するまで同人をきちんと扶養すること」という条件に違反しているので、父から長男Bに対する遺贈は当然に無効となりますか。 本件は負担付遺贈に該当し、負担付遺贈は、負担を条件とするものではありませんので、負担を履行しなくても遺贈の効力は発生し、負担が履行されないからといって、遺贈が当然に効力を失うこともありません。負担が履行されない場合は、家庭裁判所によって遺贈が取り消されることがあるにとどまります(民法1027条)。回答1 設問2 設問2 回答2  本件において遺贈の取消しは認められますか。 本件において遺贈の取消しは認められますか。 本件において遺贈の取消しは認められますか。 本件において遺贈の取消しは認められますか。 長男Bが具体的にどのような扶養・介護を行ったか等によって、取消しが認められるか否かが判断されることとなります。扶養・介護の負担が重くなく(程度が軽い、期間が短い等)、長男【事案26】 負担付遺贈の取消し──民法1027条 175 父には「自宅不動産は長男Bに遺贈する。ただし、長男Bは私の妻Aと同居してAが死亡するまで同人をきちんと扶養することが条件である」という遺言があった。 長男Bは、当該遺言に基づいて自宅不動産を相続し、長男Bの自宅を売り払ってAと同居を始め、長男B一家が長年Aの扶養・介護をしていた。 しかし、その後Aは「長男の嫁と気が合わない」「同居するんじゃなかった」等不満を述べるようになったので、結局次男C夫婦がAを引き取ることとなった。 長男BはAが死亡するまでAと同居して扶養するという約束を果たしていないので、次男Cとしては長男Bが相続した自宅不動産を取り返したいと考えている。【事案26】 負担付遺贈の取消し──民法1027条

元のページ  ../index.html#47

このブックを見る