フロ相_試し読み
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i 土地や建物の所有者が亡くなった際に登記の名義変更の手続(相続登記)がされないために,所有者がわからない土地や建物が増えていることが,大きな社会問題になっています。これに対応するため,令和6年4月1日から,法律により「相続登記が義務化」されることになりました。「相続登記の義務化」は,過去に相続した未登記の不動産にも適用され,正当な理由なく義務を怠った場合には10万円以下のペナルティ(過料)の対象になるなど,皆様が今から備えておく必要がある大変重要な制度です。 本書は,そのような制度改正も踏まえ,相続登記をご自身で行うことをご検討されている方に向けて,相続登記の申請の仕方をわかりやすく解説したものです。相続問題に詳しい弁護士と司法書士が協同して手続を解説した画期的な書籍であり,一般の方はもちろん,専門家にも広く活用していただけるものと自負しています。 親族が亡くなった後に相続登記をしないまま放置しておくと,将来,手続がとても複雑になり,多くの時間と費用をかけて,弁護士などの専門家に頼まなければならないことが少なくありません。そのような事態を防ぐためには,相続開始後速やかに,遺産分割を行い,相続登記をすることが大切です。 本書では,法律的な知識がなくても,フローチャートに従えば典型的な相続登記の申請手続が理解できるようになっています。まずは第1章2頁のフローチャートを確認して,ご自身がどのケースに当たるのかを確認してください。第2章~第4章では,遺言のある・なしや,遺言の内容に応じて,それぞれのケースに必要な書類や,登記申請書の書き方がわかりやすく記載されています。本書であげた典型的なケースに当たらない複雑な場合には,関係するところでその都度,司法書士などの専門家に相談してもらうことをお勧めしています。 本書をまとめるにあたっては,令和4年9月から毎月,研究会を開催し,各担当者の執筆した原稿について議論を重ねてきました。法務省民事局付の森下宏輝さんにも,本書完成までに有益な指摘,助言をいただきました。もとより内容面についてはすべて,我々執筆者に責任があるものです。また,日本加除出版の渡邊宏美さん,松原史明さん,康恵美さんにも大変お世話になりました。この場をお借りしまして,皆様に心よりお礼申し上げます。 令和5年5月 相続登記実務研究会    編集代表 大坪 和敏はしがきはしがき

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