22 キーワード 【プレッシャー】【依頼者からの要求】【弁護士倫理】【一般民事】【獲得目標】 次に,②時間については,「対応をしてもらえることの確認までの時間」と「回答時間」の違いが重要であり,Q18を参照ください。 更に,③内容面は,個別の状況によるものの,依頼者側である程度「欲しいもの」が何かを想定して依頼していることが多く,依頼者と適切にコミュニケーションすることで,その「欲しいもの」として想定しているものが何かを理解し,それを(法律上可能な限り)提供するということが重要です(Q13参照)。実現可能性がない選択肢では助言の意味がありません。そこで,少しでも実現可能性が高い方法を考えるのが重要と思われます。加えて,外部の目から見てどう見えるかを知りたい,というのは顧問弁護士に依頼する理由の1つです。最終的には,依頼者の企業文化等に基づく「肌感覚」を踏まえたアドバイス(例えば,同じような状況でも,適法なレンジがある程度広く,その中で各社が裁量で選び取っていくという場合において,「その依頼者」がどのような選択をする傾向にあるか等を踏まえたアドバイス)を行うことが望ましいものの,そこまでは一朝一夕にはできるようにならないことも理解しておくべきでしょう。 そして,④形式面は,まずは依頼者のリテラシーに合わせた表現です。噛み砕いた説明の要否及び噛み砕く度合い(粒度)も考えどころです。噛み砕き過ぎると,バカにされていると感じる人が出かねません。ただ噛み砕くのが足りないと何を言っているのか分からないという印象を持たれる可能性があり,そもそも理解されない可能性があります。最終的に読む人が誰かを踏まえ,例えば経営者等であれば,エグゼクティブサマリー(→Q13)を設ける等も検討すべきです。加えて,説明の論拠にどこまでの資料(判例・文献)を引用・添付することが期待されているのかも把握しておく方がよいでしょう。 最後は,⑤ストレスなきコミュニケーションであり,上記各点を踏まえ,依頼者の意図を理解し,依頼者が依頼して良かったと安心できれば,また依頼したくなるでしょう。 一般民事の依頼者が「この裁判に自分の人生がかかっている,絶対に勝って欲しい」と強く要求する場合,どんな対応をすべきでしょうか? 依頼を受ける前に「絶対」に「勝って」欲しいという相談者の真の意第1編 顧問弁護士編
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