若特
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49 キーワード  【ビジネスパーソン】【ガーディアン】【全社的リスク管理】【証拠・記録化】【リスク説明】 いいえ,「闇雲」にビジネスを前進させるのではなく,ガーディアン機能を果たしましょう。解 説 もちろん,「ビジネスを前に進める」ことは,「ビジネスのいいなりになる」ことではありません。あくまでも「前進させるべき」ビジネスを前進させるに過ぎないのであって,この点は勘違いしないでいただきたいと思います。例えば,ビジネスサイドが特定の取引スキームがよいとか,特定の契約条項(例えば相手の提示した相手雛形)がよいと述べた場合に,法務パーソンが「ビジネスパーソン」としてビジネスを前に進める,ということは(そのようなビジネスサイドの希望に共感を示したり寄り添ったりするとしても)必ずしもそれをそのまま受け入れることを意味しません。もし,法務がビジネスの希望をそのまま受け入れるだけということであれば,そこに何の付加価値(→Q177)も与えることができません。要するに,「闇雲」にビジネスを前進させるだけでは能がない,ということです。 いわゆる法務のガーディアン機能として「法的リスク管理の観点から,経営や他部門の意思決定に関与して,事業や業務執行の内容に変更を加え,場合によっては,意思決定を中止・延期させるなどによって,会社の権利や財産,評判などを守る機能」(「国際競争力強化に向けた 日本企業の法務機能のあり方研究会 報告書」5頁参照(https://www.meti.go.jp/press/2019/11/20191119002/20191119002-1.pdf))が指摘されていますが,Q36で説明したパートナー機能に加え,ガーディアン機能も果たさなければなりません。 だからこそ,ビジネスと同じ方向に歩むとしても,ビジネスとは異なる視点から,リスクを受け入れ可能な範囲に抑えられるようにしなければなりません。これは,全体を見て収まるべき範囲に(経営陣の判断が経営判断の下で適法と判断される範囲内に)収まるように必要な対応及びその記録化を図るという表現をすることもできるでしょう。 例えば,ビジネスサイドが当初希望する取引スキームにコンプライアンス上のリスクがあるのであれば,それをどうやってリスクを取ることがで37 前問(Q36)によれば,つまり,法務もビジネスと同じようにビジネスを進める,ということですか?

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