若特
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164 キーワード  【一般民事】【街弁】2 それでもキャリアについて考える意味はあること それでは,自分ではどうしようもない側面があるから,キャリアについて考えることが無意味なのでしょうか。この点については,筆者はなおキャリアについて考える意味はあると考えます。 まずは,自分を見つめ,どのような人生を歩みたいか,それを実現する上で,職業生活上はどのようなキャリアを歩みたいか,ということを折に触れて考えて,ライフステージ(典型的には結婚,出産等)に応じて,その内容を更新していくことは,自分が何を希望するのかをよりよく理解することにつながり,それが,キャリアにおける「機会」を逃さない(チャンスの女神の前髪をつかむ)ことや,結果的に「納得感」が高いキャリアにつながるという側面は指摘できるでしょう。 また,自分のこれまでの歩みを折りに触れて振り返ることで,自分の人生の意義を見つめ直すことができ,例えば,「こういう面白い経験をしたから共有してみよう」と,研究会やブログ等で共有すると,それをきっかけに執筆につなげる等,次の発展につなげることができるかもしれません。 更に,外部の市場の状況等の外的環境やあり得るキャリアの選択肢の情報を入手し,最新情報へと更新し続けることで,「もしもっと若いうちにこんな可能性があると知っていたら……。」というような後悔を減らすことができる可能性があります。例えば,30代まで転職を何回か行い,(法律事務所のイソ・アソクラスや法務におけるスタッフレベルの転職が相当活発であることから)良い経験やより良い待遇を得ることができ,「その職場が快適であればそこに居続ければ良く,問題があれば転職すればよい」といった考えを持っていても,40代になって突然壁にぶつかるかもしれません。もし,自分の顧客も専門性もない(法律事務所への転職の場合),又は,マネジメント経験を持っていない(企業法務部門への転職の場合)とすると,30代までならともかく,40代であれば転職の難易度が跳ね上がります。「40代のスムーズな転職のために何が必要か」と言った情報を知っていれば,早いうちから準備を開始することで,より自分として納得できるキャリアを過ごすことができる可能性があるのです。 昔は数年修行して独立が中心でしたが,パートナー昇格や,大規模事第3編 キャリア編131 街弁としてのキャリアは概ねどのようなものでしょうか?

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