若特
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192第3編 キャリア編ナー加入,インハウス等の様々な選択肢を検討して信頼できる人に相談しましょう。解 説1 売上を増やし経費を減らす 経営難を打開するための正攻法は,売上を増やし,経費を減らすことです。売上を増やす方は,初心に帰ってQ29を参照してください。経費は比較的減らしやすく,例えば,現時点で駅近の賃料の高いオフィスにいる場合,思い切って少し駅から遠い古く狭めのオフィスや,場合によってはレンタルオフィス等にすることで(他事務所との分離等の要件を満たすことに留意する必要があります),経費を節減することが考えられます。最近は,オンライン面談も増えているので,必ずしもオフィスの質が決定的な意味を持たなくなってはいますが,この方法による場合,一定の顧客を失い顧客層の方向が変わるリスクがあります。このやり方で経営再建の見通しが立たない場合は,以下の方法を検討した方が良いと思います。2 他の事務所との合併・パートナー加入 既に顧問先がある等,一定の収入はあるものの一人で経営していたのでは経費負担が重いという場合,他の事務所との合併・パートナー加入も選択肢となります。相手探しにおいては,普段から弁護士会活動を行うなど他の弁護士とのつながりを広げておくことが役に立ちます(この点,Q29,Q185も参照)。3 インハウス等 また,インハウス等への転身も十分にあり得ます(→Q160以降)。経営に自信を持てない場合は真剣に検討した方が良い選択肢でしょう。なお,既存案件の処理は問題となりますが,友人に引き継いでもらうとか,副業を認めてもらえる会社に就職するといった方法も考えられます。4 周囲への相談 上記のような対応をすることは,主観的には恥ずかしいかもしれませんが,預かり金横領や非弁提携に陥ってしまうことを想起すると,恥ずかしいなどといっていられません。早めに信頼できる人へ相談をしてみましょう。もし相談できる人が身近にいなかったら,思い切って弁護士会のしかるべき人や元教官などに連絡をして「窮鳥」としてその懐に入ってみることをお奨めします。インハウスの紹介を受けたり,場合によっては「仕事が多いから,まずは共同受任で手伝ってくれないか,ゆくゆくは同じ事務所でやろう」といった話になるかもしれません。

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