控訴
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7のではありません。もちろん、担当調査官の解説ですから、個人的見解と断りがあるにしても、その判決を理解し関連する判例学説の要旨などを知る上で重要な文献資料であることに変わりはありませんが、それ以上のものではなく、まして最高裁の公式見解などというものではありませんので、くれぐれもその点ははき違えないようにしましょう。実際、初期の調査官解説の中には、上告審として上告理由に適切に応えていないなどと判旨に疑問を呈するものなどもありました。 判決の言渡しは判決書の原本に基づいてするものであり(法252条。改正法では電子判決書に基づいてします(改正法253条1項)。)、仮に判決の言渡しの際に、裁判長(裁判官)が判決書の原本に記載のない事実を述べるようなことがあったとしても、それは判決の内容とはなりませんし、誤って判決書の原本と異なることを述べたり(言い間違い)した場合であっても、判決書の原本の記載に従って言渡されたものとされます。裁判官J 判決の言渡しの話が出ましたので、ちょっとお聞きしたいのですが、私自身がこれまでに数多くの判決の言渡しをしてきましたが、大事件というわけではなくても、事案によっては主文の言渡しだけでなく理由の要旨を告げたりする方がよいかなと感じるときもありました。そうした点についてお話しいただければと思います。弁護士A そういえば、判決の言渡しについて、法廷に行って傍聴をするように言われたことがありました。実際に傍聴して判決の主文を聞くのと、後で書記官室に電話をしたりして聞く(改正法による改正後では電子判決書のファイルを閲覧する。)のとではどちらがよいのでしょうか。弁護士B 判決の言渡しと言えば、言渡期日が直前になって、理由も示されずに突然延期や変更となることがあります。依頼者に説明するのに苦労することが多いのですが、実際のところはどうなのでしょうか。講師 なかなかよい質問ですね。判決の言渡しに関しては、それぞれの立場からもいくつか注意すべき事柄がありますが、ここでお話をすると長々と脱線しそうですね。いずれも控訴審特有の問題というよりは一般的な内容に広く及ぶところがほとんどですから、番外の講義に委ねるこ1 控訴(附帯控訴)の検討

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