控訴
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 「民事裁判は一寸先は闇」との教えを受け、民事裁判実務に足を踏み入れ40有余年を経て、その言葉をしみじみと実感しています。そして、民事控訴審実務の奥深さとその占める役割の重要性に思いを新たにする昨今です。 わが国における民事裁判制度が、民事紛争の解決のため、時代を超えて今なお、また引き続き将来にわたり、有用な手段として、中心的な役割と機能を果たすことができるかどうかは、偏にこれを担う法曹関係者の不断の努力と謙虚な反省にかかっているように思います。 本書が民事裁判実務のうち、民事控訴審の実践講座として、これに携わる法曹関係者の方々に何がしかの示唆をお届けすることができれば、著者として誠に幸せに思います。 本書を書き進める中で、多くの先輩、同僚や当事者関係の方々から教えを受けた様々なことをあらためて想い起こし、その中で実務に役立ちそうな事柄をお伝えするように努めました。これらの中には既に鬼籍に入られた方も少なくなく、それを含めてこれまでにご指導を受けた多くの方々の学恩には、ここにあらためて深く感謝を申し上げます。 本書は、弁護士として偶々依頼事件の関係で、教えを請いに久々にお会いした松山の裁判所以来のお付合いのある松原正明氏(弁護士、元横浜家庭裁判所 部総括判事、元早稲田大学大学院法務研究科・教授)からの強いお薦めに背中を押され、弁護士業務の傍ら数年がかりで、民事裁判とりわけ民事控訴審の実務に関する四方山話として、後進の方々のご参考までにとりまとめたものです。松原氏との偶然の出会いがなければ本書を著すことはなかったでしょう。また、日本加除出版の盛田氏と荻原氏には、根気よく様々な有益なアドバイスを頂きました。最後となりましたが、ここにあらためて感謝を申し上げます。 2023年4月吉日あとがき304あとがき佐 藤 陽 一

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