控訴
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オリエンテーションiv要な証拠調べを行わないままに審理が終結されて第一審判決が言い渡されているという事例がありました。また、判決内容を見ても、理由として説示するところがおよそ論理的な理由になっていない、立証責任の分配を誤っているなど、認定判断に明白な誤りのあるものも決して少なくはありませんでした。しかもそれらの判決群は、たまたまの例外的な事例なのではなく、恒常的に存在していることに気が付きました。それまで、同期の弁護士などから、「明らかにおかしな第一審判決があるから、控訴審がなければ困る、控訴審で是非是正してもらう必要がある。」などと言われたこともありましたが、一笑に付していました。しかし、現実は確かに当たっている面があることを否定できませんでした。 ここで高等裁判所における民事控訴審の審理状況を概観してみましょう。 別表1は、平成23年から令和3年までの司法統計年報から、高等裁判所通常訴訟事件の既済事件の内訳の数値をとったものです。これによれば、年によって多少の変動があるとはいえ、おおむね、終局判決において、第一審判決を変更(一部変更を含む。)したものは既済事件全体の約13パーセ【別表1 高等裁判所における民事控訴審の審理状況】【別表1 高等裁判所における民事控訴審の審理状況】既済総数既済総数判決総数判決総数1087510875114291142999179917882488248935893584848484797479747593759371767176595659567286728694449944498586.2738586.27358.3%58.3%平成23年平成23年平成24年平成24年平成25年平成25年平成26年平成26年平成27年平成27年平成28年平成28年平成29年平成29年平成30年平成30年令和元年令和元年令和2年令和2年令和3年令和3年合 計合 計平 均平 均百分率百分率19205192051898618986170721707215308153081562215622144151441513744137441292212922122281222810398103981210912109162009162009既  済既  済判  決判  決棄却棄却取消取消却下却下826882688839883977487748677467746748674863616361599359935709570954935493451045105631563172074720746552.1826552.18244.5%44.5%250725072493249320872087196519652107210720372037189218921792179215961596134613461575157521397213971945.1821945.18213.2%13.2%3434404028282121101015151414222227273333303027427424.9090924.909090.2%0.2%和 解和 解取下げ取下げその他その他6666575754546464707071717575707060606767505070470464640.4%0.4%532353235387538752195219504150414931493146044604436543654151415139783978327332733556355649828498284529.8184529.81830.8%30.8%213921391745174515071507107610761207120791591589489477377375775787487490590512792127921162.9091162.9097.9%7.9%

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