5第1 担当世帯数からみるケースワーカーの業務量6) 福祉事務所十年の歩み編集員会編『福祉事務所十年の歩み』(全国社会福祉協議会,1961)62頁7) 福祉事務所十年の歩み編集員会編『福祉事務所十年の歩み』(全国社会福祉協議会,1961)60頁8) 佐藤圭一「この人に語らせる 社会福祉主事の毎日」『写真公報』(大蔵省印刷局,1958)15頁なかった実情が分かります。 さらに福祉事務所設置から10年経た1961年に厚生省は『福祉事務所十年の歩み』を刊行し,そこでは「現業員一人当りの担当世帯数からみると郡部市部とも最高約130ケイス,最低約35ケイスとなっており,郡部にあっては法定担当ケイス以下の事務所80ヵ所,市部にあっては,409ヵ所であり,いかに過重な事務量を負荷されているかがわかる」6)と指摘しています。このときの福祉事務所は郡部367か所,市部643か所7)ですから郡部287か所(78.2%),市部234か所(36.3%)の福祉事務所が法定数を超えていたことになります。 この当時の担当世帯の問題は大蔵省発行の政府広報誌『写真公報』にも掲載されています。ここでは福祉事務所の仕事内容とともに紹介されているケースワーカーが,「われわれの活動は福祉三法を中核として実施されるが,それら三法の運用を適切に判断し,その措置を短時間に具体化することは現状から考えてちょつと容易なことではない。現在隘路となつているものは人員の不足が原因となつて事務の絶対量が多いことである。」8)と述べており,ケースワーカーの人員問題については,省を越えて共通の理解であったように思われます。 その後1967年に行政管理庁が「生活保護に関する行政監察(第3次)」を厚生省に勧告しました。そこでは「都道府県,市の福祉事務所のいずれも現業員の充足率が低く,また,無資格者,未経験者が多いので,現業員の充実について速やかに改善するよう指導監督する必要がある。」と指摘し,充足率は市部93.9%,郡部85.5%であるとしています。また「保護率の上昇に応じた現業員の充足がはかられていない事例」として,「徳島県は山間地帯が多いが,近年特に都市周辺の平坦部との所得格差が目立ち,山間地帯を所管
元のページ ../index.html#25