1事例1アルコール問題が疑われる人への支援第1事例の概要等第11 世帯の概要 Aさんは60代男性の単身高齢者でした。住居はその地域でも家賃が特に安い風呂なしの木造アパートに住んでいました。都内で生まれ育ったAさんは中学卒業後,建築現場などの仕事で生計を立てていましたが妻とは死別しています。また,成人した子どもたちとも生活を別にし,40歳を過ぎてからは一人暮らしをしていました。長年の肉体労働の影響もあり,腰痛や肝疾患で仕事を続けることが難しくなったことから,50代後半から生活保護を利用することになりました。 子どもや親類縁者は近隣にはおらず,交流もほとんどないということでした。2 Aさんの現状 Aさんは銀行口座がないため,保護費は福祉事務所窓口での現金支給でした。また,いつもマスクを着けていたAさんから,福祉事務所に来る際にお酒の臭いがすることがありましたが,Aさんは「前日のお酒が残っているだけ」と話していました。 前任ケースワーカーからは「自宅がゴミ屋敷と化し,訪問しても家に上げてもらえない。居室内清掃を指導するように」と引継ぎを受けました。 Aさんは高齢でしたが,病院にかかることはなく定期通院先はないということでした。79事例1 アルコール問題が疑われる人への支援
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