14_支保
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3 担当ケースワーカーの交代 担当ケースワーカーの交代後,挨拶を兼ねて家庭訪問をしました。Aさんは在宅していましたが,玄関戸を少し開けるだけの応対で「特に変わりない」「困りごとはない」と言って,面談を早々に切り上げようとしていることが明らかでした。また,Aさんの住むアパートは日当たりの悪い木造集合住宅で電気をつけないために,日中でも薄暗く室内はうかがいしれませんでしたが,室内でもAさんは帽子とマスクを着用し,その様子にケースワーカーは違和感を覚えました。第2支援困難と考える状況,課題第21 不衛生な住環境 Aさん世帯の課題は不衛生な住環境でした。Aさんの住むアパートは入居者のほとんどが生活保護利用世帯であり,「ゴミがひどくて困る。臭いもひどいし,ハエが飛んでいて不衛生」との苦情がケースワーカーに寄せられることもありました。また,ケースワーカーに苦情を寄せた住民によると,建物の大家に相談しても何も対応してもらえない,ということでした。 これまでのケースワーカーが家庭訪問をしても室内に上げてもらうことはできず,何年も室内の状況を知ることができずにいました。Aさんへ近隣からの苦情を伝えても「大丈夫」「問題ない」というだけで表面的にはAさん自身は困っていないように見えました。 Aさん自身は特に困っている様子はありませんでしたが,ケースワーカーから見るとハエが飛び,悪臭を放つ住居で暮らすことは「健康で文化的な生活」ということはできず,何とか改善をしたいと思いました。2 本人は現状に困っていないこと また,福祉事務所では生活保護の実施に当たって室内や生活状況を知ることが求められますが,何年も室内を確認していないこと,近隣から入る苦情第3章 「支援困難」者への支援事例とケースワーカーの悩み80

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