iはしがき 近時,家族法制の課題として,未成年の子を持つ父母の離婚に伴う子の養育の在り方について,父母の離婚を経験した子の置かれている状況,子育ての在り方やそれに関する国民意識の多様化,社会の各分野における女性の一層の参画といった社会情勢,あるいは子に関わる近時の立法の動向や児童の権利に関する条約の批准後の状況等を背景に,国内外から様々な指摘がされており,例えば,離婚後の親権制度の在り方(離婚後の共同親権制度の検討等)や,養育費の支払確保,安全・安心な親子交流に向けた取組の促進等についての検討の必要性が指摘されていました。また,これらに関連して,未成年者を養子とする養子縁組制度の在り方や父母の離婚時の財産分与制度の在り方等についても,一定の検討の必要性が指摘されていました。 そこで,これらの事項に対処するため,法務大臣の諮問機関である法制審議会が令和3年2月に設置され,同年3月から家族法制に関する民法の改正審議を重ねてきたものであり,その検討結果が部会資料,中間試案,その補足説明,要綱案等によって公表されています。その後,令和6年3月8日,「民法等の一部を改正する法律案」が閣議決定されて国会に提出され,同年5月17日,参議院本会議で可決され,成立しました。このうち離婚後の親権に関する家族法制(共同親権制度の導入)の改正は,実に77年ぶりのことであり,多くの国民に大きな影響を与えることが必至であります。 この「民法等の一部を改正する法律」(令和6年法律第33号)は,原則として公布の日である同年5月24日から起算して2年を超えない範囲内において政令で定める日から施行予定です。 本書は,著者2名が分担執筆をし,主に前述の部会資料等を基に,本法制の概要を,適宜,図表を用いるなどして平易かつ簡潔に解説することを心がけたものです。 また,本書の執筆に当たり,社会保険労務士で元行政書士である吉川康はしがき
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