平等
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iはしがき この度,日本弁護士連合会両性の平等に関する委員会編による書籍『ジェンダー平等の実現と司法─弁護士実務から見る課題と論点』が,発刊の運びとなりました。 個人の尊重,男女平等の見地から,女性の地位・権利や現行法制の改善に関する調査・研究,女性に関わる重大な人権侵害や差別に関する具体的事実の調査・研究及びそれに基づく適切な措置の実施などを目的として,日本弁護士連合会に「女性の権利に関する委員会」が設置されたのは,1976(昭和51)年のことでした。その後,1993(平成5)年には,あらゆる分野に男女が共に参画し,真の両性の平等の実現を目指すため,現在の「両性の平等に関する委員会」に名称が変更され,引き続き,所属の委員を始め,ジェンダー問題に取り組むすべての人が精力的に活動を拡大してきました。 しかしながら,1976年から46年,1993年からは29年の歳月が流れ,2022(令和4)年となっても,世界経済フォーラム(WEF)の評価に基づく日本のジェンダー・ギャップ指数は,146か国中116位と相変わらず低迷しています(殊に,政治分野では139位,経済分野では121位と奮いません。)。反面,この間,性的少数者の問題がクローズアップされるなど,時代の進展に伴い,ジェンダー問題のカタログは厚くなり,人権感覚のリトマス試験紙として,ジェンダー平等論が持つ,その本質的な意義と価値は,ますますその端然たる姿を現しつつあるように感じられます。 本書は,これまで発表された日本弁護士連合会の意見を基礎に,上記のようなこの間のジェンダー問題の幅の拡がりと,深化を踏まえ,ジェンダー平等に関する最新の論点を網羅しつつ,両性の平等に関する委員会の委員を中心に執筆された書籍です。弁護士実務の観点から,(経験の比較的浅い)実務家にとっても,明日すぐに役に立つ情報を限られた紙面の中にはち切れんばかりに詰め込んだ内容となっています。はしがき

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