第2章 相続人と相続分 7少なくない。下記裁判例は、婚姻意思はあったとしている。地判Aは「退院中婚姻意思を持ち得ないような状態にあったとは認められない」(東京地判平成11・2・25判タ1030号247頁、岩木宰・判タ臨増(平12主判解)1065・146)⑷ 婚姻意思と離婚意思婚姻は、婚姻の届出意思に加えて、夫婦と認められる関係の設定を欲する意思が必要だから、子を嫡出子とすることのみを目的とする婚姻届は無効となる。離婚は、法律上の婚姻関係を解消する意思さえあればよいから、便宜的に離婚届を出しても有効である。最判子を嫡出子とすることのみを目的とする婚姻について「当事者間に婚姻をする意思がないとき」とは、当事者間に真に社会観念上夫婦であると認められる関係の設定を欲する効果意思を有しない場合を指し、たとえ婚姻の届出自体については当事者間に意思の合致があつたとしても、それが単に他の目的を達するための便法として仮託されたものにすぎないときは、婚姻は効力を生じない。(最二小判昭和44・10・31民集23・10・1894、杉田洋一・最高裁判所判例解説 民事篇(昭和44年度)500)高判国籍取得のための偽装婚姻は無効。姻は無効。(東京高判昭和60・2・27家月37・11・46)地判統一教会の合同結婚式の事案において、婚姻意思が認められず、婚(福岡地判平成8・3・12判タ940・250)最判「妻を戸主とする入夫婚姻をした夫婦が、事実上の婚姻関係は維持しつつ、単に、夫に戸主の地位を与えるための方便として、協議離婚の届出をした場合でも、両名が真に法律上の婚姻関係を解消する意思の合致に基づいてこれをしたものであるときは、右協議離婚は無効とはいえない」(最一小判昭和38・11・28民集17・11・1469、蕪山厳・最高裁判所判例解説 民事篇(昭和38年度)340)
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